4年に1度野球世界一を決めるワールドベースボールクラシック(WBC)。2017年の3月からその戦いの火ぶたが切って落とされます。
今回はよりWBCを楽しくみられるように、WBCに登板するピッチャーを見る時のポイントや注目選手を中心にお伝えしていきます!
※1月24日追記:WBC最終メンバー27名が確定したので、改めて選手の特徴と予想スタメンをまとめました!
WBCでピッチャーを見る時のポイントは?
WBCの命運を握る野手でも紹介したように、侍ジャパンには素晴らしいバッターがたくさんいますが、投手も決して負けていません。
メジャーリーグでもヤンキースの田中選手をはじめとして日本のピッチャーが活躍する姿を見ることが出来ますね。WBCではメジャーにいる選手が日本チームに参加するかどうかは分かりませんが、国内にいる選手も素晴らしい実力を持った選手がたくさんいます。ぜひその投げっぷりを目にしてほしいです。
ところで、WBCはプロ野球とは違った特徴があることをご存知でしょうか?大きく2つあるWBCならではの特徴を知っておくと、観戦がより楽しめます。
1つは「球数制限」です。
プロ野球のペナントレースではピッチャーが何球投げようが、何日続けて投げようが特に制限はありません。ただ体がもたないので、大体先発ピッチャーであれば100球前後で1度投げた試合から最低でも4日間開けることが普通です。
しかし、WBCは一試合に投げることのできる球数と投げた球数によって次の試合まで開けなければいけない日数が決まっています。
1次ラウンドでは65球、2次ラウンドでは80球、準決勝以降は95球までしか投げることはできません。ただし、相手バッターとの対戦中(ストライクやボールなど1つでもカウントが進んだ場合)は、そのバッターとの対戦が終わるまでは投げることが出来ます。
登板間隔は50球以上投げた場合は間に4日開けること、30球~50球投げた場合は間を1日開けることが決められています。それ以下の球数であれば間を開けなくてもいいのですが、2連投した場合は間を1日開けなければなりません。つまり3日連続で投げることはできません。
1人のエースがいたとしても、そのエースだけで1試合を投げ切ることはほぼ不可能です。また、大会全体で見れば、実力があるピッチャーと実力がないピッチャーがそろっているチームより全体的に実力がそろっているチームの方が勝ち進みやすいことになります。
ピッチャーは1イニングを投げ切るのに大体15球前後投げます。なので先発ピッチャーは、1次予選では大体4回から6回、準決勝以降でも6回から8回くらいまでしか投げることが出来ず、先発ピッチャーが投げた後どういったピッチャーを出して勝ち切るのかが重要です。
もちろんこれは攻撃する際にも重要な要素です。どんなにすごいピッチャーでも一定以上の球数を投げたら0点に抑えていても次のピッチャーに変わらなければなりません。ファーストストライクからガンガン振りに行くのか、それともボールを見極めて相手に球数を投げさせて打てるピッチャーをマウンドに出すようにするのか、この辺りも日本チームの戦略に注目すると更に楽しく観戦できるでしょう。
2つ目の特徴は「ボール」です。
WBCのボールは日本のプロ野球で使っているボールよりも滑りやすいといわれています。また、変化球はいつも投げている球よりも変化が大きくなるといわれています。このボールにうまく対応できるかどうかもWBCに登板するピッチャーを見る時に欠かせない視点です。
例えば、2009年には西部ライオンズに所属している岸投手が代表候補に選ばれたことがあります。岸投手は大きく曲がるカーブが特徴的なピッチャーで、シーズン中も素晴らしい成績を残していました。岸投手のカーブは外国のバッターにも有効であるとみられていました。しかし、岸投手はWBCのボールをうまくコントロールすることが出来ず、最終的な代表メンバーには選ばれませんでした。
今回のWBCも大谷選手や菅野選手といった今年大活躍をした選手たちが選出されていますが、こうした選手たちがシーズン中と変わらない素晴らしいボールを投げることが出来るのか、それともWBCのボールにうまく対応できずに『らしくない』ピッチングになってしまうのか、是非とも注目してみてください。
先発ピッチャーはこの選手に注目!
WBCは1次ラウンド、2次ラウンドともに4チームのリーグ戦で戦うことになります。準決勝以降はトーナメントです。つまり1次ラウンドと2次ラウンドでは3チームと戦うことになるため、先発ピッチャーも柱となる3人を用意することになるでしょう。2009年にはダルビッシュ投手や岩隈投手、2013年には田中選手や前田選手など今メジャーリーグで活躍する選手が先発しましたが、今年は誰が先発の柱となるのでしょうか?
私は3人の先発の柱のうち、ジャイアンツの菅野投手とソフトバンクの武田投手はほぼ決まりなのではないかなと思います。
菅野投手は150kmの真っ直ぐに加え、コントロール、変化球共にすべてのレベルが高く間違いなく今の日本プロ野球の中で1,2を争うピッチャーです。
球数が増えてきたときに甘いボールを投げやすくなるという欠点はありますが、WBCは球数制限があるため、あまり弱点にはならないのではないかと思います。WBCのボールにうまく対応できるのであれば、相手打線を封じ込めるピッチングが期待できるでしょう。
武田投手もここ数年素晴らしい成績を残しているのに加えて、多彩な変化球を武器にしているピッチャーです。特に武田投手のカーブとスライダーは初めて戦うバッターはかなり打ちにくいボールです。こうした変化が特徴的なピッチャーはWBCという短期決戦においてはかなり貴重な戦力になります。
さて、3人目の先発ですが、私は楽天の則本選手か日ハムの大谷選手であると思います。則本選手は今年パリーグで最も三振を取った選手であり、大谷選手はご存知二刀流として最速165kmのストレートを投げる選手です。どちらも実力的には申し分なく、先発に回らない方が守護神をやるでしょう。
共に2016年シーズンにフルで戦った影響で現在あまりコンディションが良くありませんが、3月時点までにコンディションを整えて、素晴らしいピッチングを見たいですね。
最後をしめる守護神は誰だ!?
WBCは一試合を何人かのピッチャーでつないで投げ切ることになります。なかでも最後のイニングを任せる守護神となるピッチャーを誰にするのかはかなり重要です。
2015年のプレミア12という大会でも最初は楽天の松井投手に任せていましたが、途中から守護神を固定しない戦いになりました。しかし、慣れないWBCという戦いを考えると、理想は継投するピッチャーの順番を決めておき、試合中に調整をしやすくした方が抑える確率は高まります。
横浜で守護神を任されている山崎選手や日ハムで2016年シーズン途中まで守護神を任されていた増井投手などが代表候補となっています。しかし先発ピッチャーの紹介でも触れたように、私は楽天の則本選手か日ハムの大谷選手のどちらかが先発でどちらかが守護神をやるべきだと思います。
どちらの投手も直球に力があり、三振を奪える選手です。また、両者とも日本シリーズで投げたことのあるピッチャーなので大舞台経験もあります。若いながらも安定感を感じることが出来るピッチャーなので、ぜひとも守護神を任せてみてほしいです。
日本の誇るピッチャーたちがどのような継投策で、最後のイニングを誰に任せるのか、ぜひとも注目してみてくださいね。
まとめ
今回は2017年のWBCをより楽しく見るためにピッチャーに注目したWBCならではの特徴と注目選手についてお伝えしました。
全体的に若いピッチャーが多い今回のWBCですが、大舞台の重圧をうまく力に変えて外国のバッターたちを圧倒させるピッチングが見たいですね。