就職活動は決して楽しいものではありません。
上手くいく人も上手くいかない人もいます。採用面接で落ちてしまう時は、具体的な理由が明かされることはめったになく、ただ単に否定された気になってしまうでしょう。
就活の面接テクニックを書いた本はたくさんありますが、自分をどう見せるか、というポイントが書いてあることが多く、面接官がどういったポイントを実際に見ているかが書かれた本はそれほど多くありません。
今回は、就活本ではなく、企業の人事担当者が読む本である『採用・面接で「とってはいけない人」のみきわめ方』(著・松下直子)から採用側が考えていることのヒントをお伝えします。
就活の面接が苦手…
就活で面接がうまくいっている先輩や同期の体験談で「面接中に面接官を笑わせた」とか「和やかな雰囲気にしてそのまま合格した」なんて話をきいて、それに比べて自分はなんて面接が下手なんだ・・・なんて落ち込んでたりしませんか?
はっきり言って、そんなエピソードには全く意味がありません。採用する側は友達作りをしているわけではありません。一緒に働く人を選んでいるのです。
「コミュニケーション能力が必要とされているのであれば、面接官とスムーズに会話が出来たほうがいいのでは…?」と思うかもしれませんが、多くの場合そういったスムーズな会話よりも別のコミュニケーション能力を見られています。
「コミュニケーション能力」や「リーダーシップ」、「協調性」など言葉が独り歩きしてしまっていて、就活を受ける学生側がイメージするこうした能力と採用側がイメージするこうした能力の違いにはかなりギャップがあります。
面接で不採用となった結果、こうした間違ったイメージを勝手に膨らませて、さらに間違った方向に突っ走ってしまう学生がかなり多いです。
面接官は面接を通じて何を見ているか把握することによって、面接でどういったことを伝えればいいか、方向性が見えてきます。就活本ならぬ「採用本」で面接官の思考を理解していきましょう。
就活の面接はどこを見る?
あなたが採用する面接官だとして、「協調性の高い人間を採用してください」と言われたらどうしますか?面接に来た人の長所で「私は協調性があります」と言った人を優先的に採用しますか?
そんなことはしませんよね。それでは言ったもの勝ちになります。では、面接官はどのようにそうしたものを見ているのでしょうか?
積極性があります。気が利く人間です。最近はやりの『潤滑油』です・・・。
こうしたキャッチフレーズには何を持ってきてもたいした意味はありません。それよりもなぜ自分でそのように思うのか、そう思う行動のエピソードは何か、エピソードの中でどんなことを学んだのか、どんな感情を思ったのか。こうした行動を通して、あなたの人となりを見ています。
エピソードのインパクトの大きさは全く関係ありません。エピソードそのものではなく、エピソードから読み取れるあなたの人間性を知りたいのです。
例えば「私はイベントサークルのサークル長をやりました。私の力でばらばらだったメンバーをまとめ上げて、これまでにない大成功のイベントを運営できました。なので、私にはリーダーシップがあります。」
と言っただけでは、この人にリーダーシップがあるかどうかなんて、はっきり言ってわかりません。わからないですよね?
そうした表面的な言葉よりももっとどういう人物かを知るためのエピソードが効きたいのです。例えば、
など、体験したエピソードは同じでも、人によって受け止め方はさまざまであり、感じることは様々なはずです。その人自身の回答が得られることを通して、どういった人間かを見ています。同じ「サークル長」でもこうした質問から差別化できるのです。
面接でうまくいかない人は、こうした人となりを伝えることをせずに、いかに自分を大きく見せるかということばかりを考えたり、エピソードを通じて面接官がどう思うか考えることをしないことに一つの原因があります。
下手にかっこつけて相手に伝わりにくくなるよりも、スムーズに話せなくてもいいから、相手に自分のことを最後まで伝えきるようにした方が、面接官側からすれば評価はしやすいです。
まとめ
今回は『採用・面接で「採ってはいけない人」のみきわめ方」という本から採用面接が苦手な人のための考えるヒントをお伝えしました。
採用されるということだけでなく、入社後のミスマッチを防ぐためにもあなた自身のことを相手に伝えるというのはとても大事です。この本は面接官に向けられた本なので、就活生が見ても役に立たない部分もありますが、逆に就活本よりもリアルな面接官の思考が書かれています。
図書館にも置いてある本です。就活の面接が苦手と思う人にぜひ一度手に取ってもらいたいです。